SHOSENJI(浄土真宗本願寺派 光寿山 正宣寺)

インド仏跡の旅(3)

国立博物館と交通事情

 昼食後、カルカッタの国立博物館へ行きました。旅行のテーマの1つである仏教美術の勉強のために、ここに復元展示されているバールフトのストゥーパを児るためです。ストゥーパとはお釈迦様のお骨を安置するために土石を椀形に盛り、あるいはレンガを積んで作ったもので、お墓の原型でもあります。これが日本に伝わり、形は変わったが名前だけがそのまま卒塔婆(そとば)と言われるようにようになったのです。

 しかし復元されているのはストゥーパの周りを囲む東門と欄楯(らんじゅん)だけです。これが発見された1873年にはほとんど崩壊していて、石製の欄楯の多くは近くの村人の建築材料として使われていたといいます。国宝級のものでもわからなければただの石、しかし価値がわからなくても使ってくれたから残ったというのもおもしろいものです。

 この門の形が日本に伝わり、神社の鳥居になったといわれています。つまり門と欄楯によって囲むことで聖地であることをあらわし、そして門と欄楯に聖なる礼拝物や仏伝や説話が彫刻されています。これが仏教美術の源泉として重要なのです。それについて天岸先生に説明していただきました。しかし先生には講師として同行していただいていますが、講師料も払っていなければ、旅行費も自分で出してもらっています。それでも手を抜くことのない丁寧な説明で、先生のすごさをあらためて知らされました。しかし、その教えが頭に入らない、自分の頭のすごさも…。

 美術館を出て、いよいよお釈迦様の悟りの地、ブッタ・ガヤーに向けて出発です。今回はカルカッタからガヤーまでは列車の旅です。カルカッタの町を南北に流れるフーグリー河の西側にメイン駅、ハウラー駅があります。その駅に向かうためにハウラー橋を渡るのがまた大変で、とにかく道はバス、車、人力車などあらゆる車のついたものでごったがえしていて、駅についても人の多いこと…。とにかくこの町は混沌とした熱気とほこりっぽさに満たされています。

 人ごみの中を、ひたすら前の人を見失わないように歩きます。ここで迷ったらどうやって探すのだろうかと、そんな心配はする必要はありません。はぐれたら大変なことをわかっているみたいで、前の人をひたすら必死に追いかける。これが日本人らしいのかなと思いながら、よく考えたらホームに着くまで回りを見る余裕がなかった自分に気がつきました。私が一番に日本人らしいのか?

 近頃はインドの列車も時間通り動くようになったといいます。10年前にインドに来たときは、踏切で2時間も待たされました。列車が来る予定時間に遮断機(遮断機というより鉄格子の扉)を閉め、通過するまでそのままなのです。しかも丁寧なことに鍵をかけていくので開けることができません。列車が通り過ぎた時、全員で拍手をしたことを思い出します。

 しかし今回は予定時間よりも30分ほど遅れただけで、17時半に電車が動き出しました。予定が狂わないのはうれしいのですが、インドらしさもなくなってきたさみしさも感じました。今日の夕食は列車の中、トワイライトエクスプレスのフランス料理というわけにはいきませんが、どんな料理が出るのか楽しみです。

 列車は寝台のコンパートメント、上下二段式です。席について少しお酒でもと思ったら、車掌に注意されました。どうやらインドでは人前でお酒を飲むのはいけないようです。カーテンを閉めて、こっそり飲みました。そこまでして飲みたいのかといわれるが、答えは「ハイ」。

 やがて楽しみな食事が運ばれました。ところがずいぶんとゆっくりで、最初にスープが出てきてから最後のデザートまでに何時間かかったことか、中には途中で寝てしまった人まで…。しかしその寝た人をわざわざ起こしていく食事係のおじさんもお疲れさまです。また量も多く、全部食べた人はインドに一番多く来ている藤井さんぐらいで、後は途中でリタイヤでした。

 列車に乗った5時間、ゆったりできるどころか、逆に疲れた人も少なくはないようです。その疲れが最後にピークとなりました。まもなくガヤー駅に着くというので、ドアのところで待機。それが着きそうで着かないというイライラの1時間、これが後でジャブを食らったように効いてきました。

 夜中の11時にガヤー駅に到着、駅を降りると駅前の広場に布で巻かれた遺体が数知れず。「これはどうしたのか」と聞くと、電車を待っている人だといいいます。待ち方もいろいろとあるものです。とにかく生きているので踏まないように注意して歩きます。

 ここからブッタ・ガヤーまでバスで1時間、何とか今日中にホテルに入りたいものです。きれいなバスが待っていてくれました。前回の旅行ではドアがなく、窓ガラスが穴の空いていたバスのお迎えに、ビックリ仰天。今回はインドで最新式ということで、なぜかうれしくなりました。しかしこのバスが翌日に故障するとは…。喜びは一瞬、人生のように、良いことは続かないようです。

 さあ、明日からは久しぶりのお悟りの地、ブッタ・ガヤーにお参りです。

前のページに戻る

表示モード切り替え