浄土真宗本願寺派 光寿山 正宣寺

おのれを知る

 この世に浄土を建立しようとする人がいます。この世をどこまでも浄化し、すべての人が生を楽しめるような地上の楽園を打ちたてようと努力するのが、この世に生を受けたものの使命であって、いたずらにこの世をいとい離れて他の浄土を願うものは、無責任な逃避であり、弱いもののすることだと非難する人がいます。

 その論理は正しいし、熱情も尊い。浄土を願うものは弱いものだといわれれば、その批判も甘受しよう。ただしその理論は正しくとも、その情熱は盛んであったとしても、私にこの世を浄化できるだけの力量があるのか。1人でもほんとうに救いきれる自信があるのかをたずねてみなければならない。

 「世の中を浄化する」といって、逆に乱す人が多いのではないでしょうか。「人を救う」といって、逆に迷惑をかけているのではないでしょうか。これは人ごとではなく、私もその中の一人であるという謙虚な反省がなければならない。

 もちろんこの世に生を受けたからには、少しでも住みやすいように努力することを否定しているのではありません。むしろ阿弥陀さまの願いに呼びさまされたものは、人々の幸せを願いながら、つとめさせてもらわなければなりません。

 しかし自分自身の力量を省みることがなかったならば、自他ともに破滅におとしめることになるのです。親鸞聖人が

今の時の道俗、己れが分を思量せよ

と注意を喚起されたのです。

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