仏さまのお育て
「仏様のお言葉にはウソはない」とうたがいなく信ずることは、よほど仏様に育てられないとできません。
チンパンジーに餌づけをして、人間を信用するようになるのには、長い時間がかかります。その努力が実を結んだ時に、チンパンジーは人間に近づくようになります。人間を信頼するようになるのは、餌づけをした人の心が届いたからなのです。怖れなくなった心は人間の育てた心であって、チンパンジーが本来持っている心ではありません。
私達が疑いなく仏様の言葉を受け入れるようになったのは、実は仏様のほうからいろいろな形ではたらきかけてくださったからなのです。そして仏様に対する信頼感を、私の心の中に植えつけてくださったのです。それを親鸞聖人は「疑いなく教えを受け入れるということも、仏様からたまわり、頂戴した心なのだ」といわれます。
人間の言葉はそうとう警戒して聞かなければなりません。しかし仏様の教えは警戒する必要はなく、無条件で受け入れたらよいのです。とその心が私に起こってくるまで、仏様は私を育てて下さったのだというのです。
お念仏は「お前を救うみ親がここにいるのだよ、我をたのみ我にまかせよ」と一声一声、私を呼んで下さる阿弥陀様の呼び声を聞くことなのです。
私の思い量ることのできないお念仏のみ教えを、疑いなく受け入れることができるというのは、大変なことなのです。
「南無阿弥陀仏」