清め塩
「葬儀の時、浄土真宗ではなぜ塩をまいたり清め塩をしないのか?」という質問は、おそらく多いのではないでしょうか。
答えは簡単です。このような行為は、真宗はもとより、仏教の教えに何も関わりもない民間の伝承だからです。
塩は、水とともに人間には大変必要なものです。人間の体にしめる塩分の割合は体重の約0.7%に達します。また、近年まで食料を保存するための防腐効果として、重要な役割を果たしてきました。
塩鮭は塩辛いものほど長持ちするということを、古い時代から人々は知っていて、この効果を用いたのが「清め塩」の原理です。死体を塩漬けにすれば腐敗を防げるという効果が、まじないとして残ったのです。それが現代では、会葬者に向かって投げたり、小袋に入れて配ったりするようになりました。
わが国では、死体の腐敗に対する恐怖心と、それを忌みきらう風習が伝えられてきました。例えば人が亡くなると、神棚に白い紙を貼って覆い隠すのは、神様は死体の腐敗によるけがれを嫌うからです。
塩をまく習俗も、そうした中から出てきました。そのため、仏教とは無縁であり、真宗では行わないのです。