浄土真宗本願寺派 光寿山 正宣寺

お仏壇のお荘厳

 1945年8月15日の終戦から、早や50年の歳月が過ぎ、昨年から今年にかけて、多くのご家庭で戦争犠牲者の50回忌法要が勤められました。宗祖親鸞(しんらん)聖人の「世の中安穏(あんのん)なれ、仏法ひろまれかし」のお言葉が心にしみるこの頃であります。

 拙寺でも来年2月には、早くも先代住職の33回忌を迎えようとしております。従って私がご門徒のお宅へ月忌(がっき)詣りにお伺いするようになってからも、早や30数年が過ぎました。その月忌詣りには、必ず仏壇(ぶつだん)の前で読経(どきょう)を致します。その時にいつも感じることを少し書いてみたいと思います。

 お仏壇とは文字通り、仏さま、すなおち、ご本尊(ほんぞん)である阿弥陀さまをご安置する壇であります。ちょっとしたことにこだわり、悩み、自分を見失いがちになる私をしっかりと抱きとめて、けっして崩れることめない安らぎを与えて下さる阿弥陀さまです。お仏壇は、そうした私の心の()り所となり、家庭の精神的基盤となって下さる阿弥陀さまをご安置するために設けるのです。従ってお仏壇は、いつも清潔に気持ちよく整えておかねばなりません。

 お仏壇の大小により一概には言えませんが、その第一歩はそれぞれの仏具を定められた所に、きちんと置くことでしょう。

 次に不用なものを置かないというのも大切です。例えば、他宗の仏像や祖師像(そしぞう)とか、ご祈祷札(きとうふだ)やお守り札などです。これらは浄土真宗のお仏壇にはふさわしくありませんので、一度住職にご相談下さい。

 浄土真宗では信心が最も大切であります。その信心は「聞即信(もんそくしん)」と言われるように、聞くことから生まれます。何を聞くのかといえば、阿弥陀如来のお心ご本願を聞くのです。お念仏のいわれを聞くのです。

 「信は荘厳(しょうごん)より生ず」という言葉がありますが、それは「お荘厳」(美しくお飾りすること)の作法によって如来さまのご本願を聞き、それがすなわち信心を深めていくことになる」ということだと思います。先ずはお仏壇の整理整頓、そして美しく荘厳することから始めましょう。

 お仏壇の中のお荘厳の仕方についてお話しいたします。

 お仏壇の上に上卓(うわじょく)のあるものには四具足(しぐそく)前卓(まえじょく)には五具足(ごぐそく)または三具足(みつぐそく)を置きます。

■四具足
1.火舎(かしゃ)
2.蠟燭立(ろうそくたて)
3.華瓶(けびょう) 一対(2)
(しきみ)など青木のものを用い、色花はさしません。

■五具足
1.花瓶(かひん) 一対(2)
2.蠟燭立 一対(2)
3.香炉(こうろ)

■三具足
1.花瓶
2.蠟燭立
3.香炉

 五具足のうち花瓶1、蠟燭立1をはぶいたものを三具足といいます。

 報恩講(ほうおんこう)年忌法要、新年、お盆などあらたまった場合に五具足を用い、普段は三具足にしておきます。前卓の花瓶の花は、四季それぞれに適当なものを供えますが、毒花やとげのあるもの、悪臭のあるものは差し控えます。造花は使いません。

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